幼馴染み~初恋物語~
そんなある日、櫻は教室でいつものクラスのテニス部のメンバーで集まって話していた。
女の子が複数集まると、いつもの恋バナが始まる。
その輪の中心にいた柚乃が、こんな話を始めた。
「昨日、5組の亮君に告白されたんだ~。私も好きだったから付き合っちゃった!!」
幸せそうに話す柚乃に祝福の言葉と拍手が送られる。
「そうなの~?いいなーっ!!」
「亮君って優しくてかっこいいよね~?」
違うクラスのあまり知らない男の子でも、適当にこうして話を会わせるのが、思春期の女の子。
柚乃にとっても、こういう風に言ってもらいたくて話しているのだから、やっぱり彼氏がかっこいいとか優しいと言われると嬉しい。
「どこで告白されたの~?」
「校舎の裏だよ。昨日の夕方、部活が終わったら来て?って誘われてて。行ったら告白されたんだ~」
櫻はそれを聞いて、ドキッとした。
今でも杏佳が教室に来ると、和樹も一緒にどこかへ行ってしまうからである。
和樹が杏佳に誘われてどこかへ行った時、廊下の窓から外を眺めると、和樹が杏佳と校舎裏で話しているのを見たことがあったのを思い出していた。