幼馴染み~初恋物語~
そんな事があった昼休み。

「和樹くーんっ!!お姉さんと遊ぼーっ!!」

また杏佳が教室に迎えにきて、和樹を連れ出して行った。

どこに行くんだろう…………

何を話すんだろう…………

いつもそんな不安が過るが、できるだけ考えないで、和樹を信じようと思っていた。

杏佳と付き合っていたら、夏休みに誘ったりしないはず。という何の根拠もない自信。

その自信は不安から生まれてくるもので、自分に言い聞かせるためのものでもある。

でも気になる櫻は、廊下から窓を覗いてみると、校舎の裏庭で、和樹と杏佳が二人でいるのを見つけた。

大丈夫…………

何もないから…………

自分にそう言い聞かせながら、窓を閉めた櫻の目には涙が浮かんでいた。

やっぱり独り占めしたいのが本音。







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