幼馴染み~初恋物語~
「櫻ちゃん…………ごめん……………………」

健一が櫻の唇から顔を離して、静かに謝ると、数秒の間が空いた。

櫻はどうすればいいのか、全くわからないのだ。

「いやっ…………」

健一の体から離れた櫻は、涙を手で拭いながら夜道を走り去っていく。

とりあえずこの場から逃げ出したかった。

健一先輩は私の事を好きって言ってくれてる…………

私だって好きか嫌いかで言えば好き…………

でもまだ和樹君の事が好き…………

もう自分の気持ちもわかんないよっ!!

櫻が混乱する理由の1つは、主人公を一途に追いかける悲劇のヒロイン気取りの気持ち。

櫻が好きな少女漫画なら必ず結ばれるのだから、和樹を待ち続けていたい気持ちが心のどこかにあった。

しかし現実は漫画のようにはさせてくれない。




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