幼馴染み~初恋物語~
和樹達の乗ったゴンドラが、頂上付近になると櫻にも向こうの様子が見える。

こちらを背にした和樹の隣に有紗が座っていた。

そんなにくっつかないで…………

私の和樹君に…………

ただ言葉を失って眺めているだけの櫻の隣で、龍聖がガラスを叩いた。

「これで和樹も気付くだろ…………?」

ウインクして微笑んだ龍聖が、ガンガンと叩くガラスの音に、和樹が振り向いた。

「あっ…………櫻だ。おーいっ!!」

満面の笑顔で手を振る和樹に、櫻も笑顔が戻った。

「和樹くーんっ!!私も乗ってるよ~?夕焼け綺麗だねー?」

どこまで聞こえているかわからないが、必死に声を張った。

「夕焼け綺麗だよな~?」

和樹の声が微かに聞こえる。

その隣で苦笑いしている有紗の表情が印象的。。

櫻は今の和樹の彼女なのだから、負けていられない。

櫻なりに有紗に奪われないように頑張っていた。





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