幼馴染み~初恋物語~
小学1年生(夏)
夏休みに入ると、和樹と修は虫取りに出掛ける事が増えた。
自転車で学校の裏にある山へ行って、カブトムシやクワガタを取るのだ。
二人ともお菓子とお茶を入れたリュックサックを背負い、黄色の虫かごを首から下げる和樹と、網を持っている修が、自転車から降りて山へと入っていく。
「この木に、カブトムシがいそうなんだけどなぁ?」
「修君?こっちの木は?」
「これもいそうだよな?」
和樹と修は、ゴツゴツとした木を見つけては、見上げてみるが、簡単には見つからない。
「木から蜂蜜が出てる木にいるらしいけど、そんなのあるか?」
「うーん…………わかんないなぁ…………」
修がカブトムシを探すのに聞いた情報は、ゴツゴツした木と、樹液が出ている木という事だけ。
運が良ければ、葉っぱの下や家の壁に止まっていたりもするが、そう簡単にカブトムシは見つからない。
カブトムシは夜行性で、日が昇る頃から出掛けて探すのが基本であり、小学生が遊ぶ時間にはなかなか見つからないもの。
それでも必死に何時間も木を見上げるのが楽しい二人。