幼馴染み~初恋物語~
お菓子を食べていた和樹が、虫かごの中のザリガニを眺めながら言った。

「ザリガニもお菓子食べるかなぁ?」

「さぁ?どうだろ?一回やってみたら?」

和樹が虫かごにお菓子を入れて眺めるが、ザリガニはお菓子を食べようとはしない。

「食べないねぇ?」

「パン粉とか食べるらしいけど…………なんか弱ってきてないか?」

修がそう言って、虫かごを覗くと、ザリガニの動きがゆったりとしている。

「やっぱり池に返そっか?このままだと、和樹の家に帰るまでに死んじゃうからさ?」

「うんっ!!返しに行こっか?」

二人でザリガニを池に戻してやると、水中に消えていった。

また洞穴に戻ってきた二人は、お菓子を食べ始める。

その時に、修が何か閃いたように笑った。

「なぁ?ここを俺達の秘密基地にしないか?」

「秘密基地って?」

「家ともう1つの俺達の部屋みたいな感じでさ?」

「あっ!!いいねぇ?そういうの。ジュースとかお菓子とかマンガを持ってきて、遊びに来ると楽しそうっ!!」

「だろ?もう少し部屋っぽく改造してさぁ?ポスターを壁に貼ったり、この辺にお菓子置き場を作ったりして。」

秘密基地。

なぜか男子の間では、親から離れた部屋のようなものを作るのが流行る。

カブトムシ取りが、ザリガニ釣りになり、偶然見つけた洞穴が秘密基地となり、その洞穴の改装が楽しみになる二人だった。


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