幼馴染み~初恋物語~
校門を越えた所で櫻が泣き出してしまう。

「上履きで帰れないよ…………もう…………返して…………」

その場で泣き崩れた櫻を見て、愛瑠も必死に靴を取り返そうとしていた。


結局、門を越えてすぐの場所で、靴を落としたのは芦田。

そこへ愛瑠が向かっていき、櫻の靴の引っ張り合いになった。

「櫻ちゃんの靴を返してっ!!」

「嫌だよっ!!」

芦田も自分が受けとるのを失敗した為、必死で抵抗する。

櫻もその場所に辿りついて、靴を返してもらおうとした時、後ろからゴリが、乱暴に愛瑠の髪を引っ張った。

「俺は空手やってるんだぞっ!!俺と対決しようか?」

「痛いっ!!痛いっ!!離してっ!!」

ゴリに髪を引っ張られて、靴から離れてしまった愛瑠も、とうとう泣いてしまった。

「痛~いっ!!うぇーん…………」

櫻が愛瑠に駆け寄って慰める。

「大丈夫?愛瑠ちゃん?」

「しく…………しく…………うん…………」

「愛瑠ちゃんに謝って?」

櫻が清山達に抗議するものの、悪びれた様子もなく笑う。

「女はすぐに泣くんだから、情けねぇよな?行くぞ?」

清山がそう言って櫻の靴を投げるように返し、その場から去っていくのを、悔しそうに見つめる二人だった。


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