不機嫌プロポーズ(仮)
その話を聞いたその日の夜、わたしは彼の前で何気なく昔話を始める
『ねぇ、わたしとあなたが初めて会った時のこと覚えてる?』
『お前が転校してきた時のことか?そうだな、お前は本当にあの時からどうしようもなく…』
そこで自分の失言に気付いた彼は動きを止め、パタッと固まってしまった
バカめが
わたしと君が初めて口を交したのは小学校6年の席替えのとき
それ以前はわたしと君に接点はまったくなかった
『へぇ~…、君ってわたしのことそんな昔から知ってたんだね』
『ばっ!!お前、それは…その…お前があまりにもブスすぎて記憶に残っていたというか…』
顔を赤くさせ、必死に言い訳を探す彼がどうしようもなく愛しくなって、わたしは笑ってしまった
『はいはい、どうせわたしは可愛くないですよーだ』
小学校のときの初恋をこじらせて、こんなわたしに恋をし続けた彼はいったい今、どんな想いなのだろうか
とりあえずわたしから言えることは、もう少しだけ素直になってくれてもいいんじゃないかなって…
まぁ、無理そうだけどね
END