君が居た頃。

季織side



「ママ、姉ちゃん何でにやけてんの?」


3歳年下の妹、香織が
怪訝そうに私の顔を覗き込んだ。

「えっ!?にやけてたかなぁ」

「うん、ガッツリ」

「香織、季織は今日初デートなのよ」

食器を洗うママが、
自分のことのように楽し気に言う。

「ちょ、違うから!!
湊魅とはただの友達だし?」

「湊魅くんって言うのねっ」

しまった!墓穴を掘った………。

諦めモードで肩を落とすと、
香織が口を開けたままで
固まっていた。

「もしかして……結城 湊魅くん?!」
「え………そう……だけど」

「やっぱり!芸能人でしょ?!
でもってうちの学校の特進の人!」


…………………えっ。


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