君が居た頃。

また、潮風が頬を撫でる。

誰も居ない海岸。

小波と、衣擦れの音。

君の、息。

閉じた瞼に、重なる唇。

息を止めた。始めて触れる唇。
そっと瞼を開くと、
二人目が合う。

「私がずっと傍に居るよ」

優しく微笑んでみせる。




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