君が居た頃。
「────ちゃん………季織ちゃん」
若い女の人の声。
重たい瞼を開くと、
眩しい光に包まれた。
見渡す限り、白。
私からしたら
それは見慣れた景色だけど、
全然心地よくない。
トラウマのようなもの。
「季織……!季織!」
「………姉ちゃん!」
「季織!」
パパとママと香織の、
泣き出しそうな声。
「………………私、部屋で倒れて……それで」
「病院ですよ」
じゃあ………若い女の人の声は
看護士さん………。
「先生、意識戻りました」
「良かった。じゃあ皆さん、
検査の結果をお話しますね」
検査?
私が眠っている間に何があったの?
あんなに鼻血が止まらなくて、
吐き出して、
やっぱり私
どうかしちゃったの?
ドクドクと心臓が焦っている。
「季織さんの病気は………」
病気?
私、病気なの?
全然、話に追い付けないから。
「悪性リンパ腫という、
血液の……癌です」