君が居た頃。
………………え?
「あの時、動けなかった俺を
季織は必死で助けてくれた」
まだ一週間もしないけれど、
もう昔のことの様に言う。
「だから……今度は
俺が季織を救いたいのに……
だけど……俺には
どうすることもできなくて……」
震える声は、
今にも涙声に変わりそうだった。
「だから、頑張ろう。
俺も一緒に頑張らせて欲しいんだ……」
一緒に…………………?
「確かに、季織の気持ちが
わかるわけない。
季織が伝えてくれなきゃ
わかんないんだ……。
だから、季織の感じたものを
その都度俺にも伝えてよ…」
抱き寄せられているから、
顔も表情も見えない。