君が居た頃。
「なので、お詫び!」

にかっと得意気に笑う湊魅は、
鞄から赤い林檎を取り出した。

「りんご……?」

「食欲なくても、
林檎なら食べれるでしょ?
なんかさっきから季織……元気ないもん」

「……え」

「………ま、治療が長引いたんだもんな。
当然だよな……」

鞄から果物ナイフを取り出した湊魅は、
林檎の皮を剥こうとした。

「あっ………」


< 64 / 85 >

この作品をシェア

pagetop