君が居た頃。
病室を後にする華奢な背中を
少しだけ引き留めた。
「どうしたの?」
「あ、いや…大したことじゃないんだけど」
でも、後悔はしたくないから。
意を決して言葉にした。
「あのね私、湊魅が大好きだよ」
唐突な私の一言に、
湊魅は不思議そうに首を傾げる。
「何いまさら、知ってるよー?」
「でも、湊魅が思うより絶対
大好きだから!」
「えっ?…………なんか今日は大胆だね」
照れ臭そうに視線を剃らす湊魅。
始めて会った時と同じ表情。
「だからね……何があっても
笑顔で居て欲しいんだ」
たまに涙が溢れそうになっても、
私のことでは泣いちゃダメ。