君が居た頃。


怖くないと言ったら嘘になる。
だけど、湊魅の未来を奪うことの方が
もっと怖い。


看護士さんや香織に、
私がナイフを使ったことは黙って
病気に負けたことにしてもらう。


そのあと、湊魅は悲しんで
たくさん悲しんで、
いつか違う誰かと
夢路を歩んでいく。


それが、最後に託した
私が望む未来だから。


本当はその隣に居るのは
私がよかった。

だけど、もう無理。
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