君が居た頃。
早くよくなると……………か
治ることを前提としたその言葉。

希望的なのに、
なんだか絶望的だと思った。

その時、





「201号室です!急いでっ!!」







突然、切り裂くような悲鳴と、
慌てる看護士たちの声がした。

廊下を駆ける、
バタバタという音。


その部屋番号に、
ヒヤリと全身が凍りつく。

香織だ、悲鳴をあげているのは香織。



………まさか、季織……っ



咄嗟に駆け出した。


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