君が居た頃。






事務所はすぐ近くのビルだった。
湊魅が案内してくれた部屋は
重たそうな機材がたくさん並んでいて、
うっかりしたらつまづいて転びそう。

「……遅刻の上に、
黙って客をつれてきたですって……?」

ものすごいスタイル抜群の
マネージャーさんが、
わなわなと震え上がる。

「私から説明させて下さい!
あのさっき…………」

「俺がサボって季織に絡んでました」

…………え。

割り込むように言った湊魅の言葉は、
明らかに嘘。

「…………思春期ボーイ、
以後気を付けるように!」

「はーい」


なんで、あんな嘘なんかついたのかな?

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