君が居た頃。


咄嗟に、日記を読んだことを
深く後悔した。



季織が居なくなってからの4年間、
何も知らずに生きてきた。





嘘だろ。
嘘だろこんなの………信じられない……っ


信じたくない。



季織が亡くなって間もない頃、
俺は悲しくて辛くて堪らなかった。


悲しむ時間を無くすようにして
仕事に漬け込むことで
どうにか精神を保ってたんだ。


そうやっていつの日にか、
キレイな思い出だけ残して
嫌なことはすっかり忘れてしまった。


だから…………だから
こうやって。

4年も何も知らずに
生きてきたんだろう。


………………………………………………………………………
大好きだよ、湊魅。
………………………………………………………………………



俺だって………………俺だって
季織が大好きだったんだ……。

どうして俺を守る為に
自殺したりしたんだよ……。

嘘までついて。

怖かったろ…………?
痛かったはずだろ?!



………ほら、もう俺は今日で17で、
強くなったんだ。

背丈だって伸びたし、

身体だって丈夫になった。



だから、
もう守ってくれなくても平気だよ?


だから…………だから…………


「…逢いたいよ………季織……」


目に涙が浮かび、
震える声を溢した。

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