君が居た頃。

意味がわからず立ち尽くしていると、
マネージャーさんが隣で
くすくすと笑っていた。

「本当は、湊魅。
また過呼吸にでもなったんでしょ?」

「……えっ?」

「だってあんなヘタメンに
女の子をナンパできる訳ないでしょ?
湊魅ってば、調子悪くなると
決まって適当に言い訳つけて
練習抜けるの」

「なんでわかるんですか?」

マネージャーさんは
優しいお母さんのような顔で微笑んだ。

「彼、喘息もちなのに頑張ってるわ
見ていってあげて。
湊魅みたいな人見知りと仲良くなれて、
貴方すごいのよ」

そう……なんだ。
なんだか……嬉しいな。
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