白いジャージリターンズ~先生と私と空~


「ママーーーーー」




私は深呼吸をして、空の元へと向かう。

布団を蹴り飛ばし、暴れる空。


寝起きはいつも私を呼ぶ。

でも、拒絶する。




「あっち行って」

抱きしめようとする私を押し返す。

「空、起きようか。バイクの音、うるさくて起きちゃったね」

「あっち行って!」

「大丈夫だよ、朝ご飯にしようね」

「もう、あっち行って」

「じゃあ、向こうで待ってるね」

「うぁぁぁあ!!!行かないで」

「どっちだよ~、空」

「ママ、もう嫌い」



こういう繰り返しが一日に何度もある。



わかってる。

空は私を誰よりも必要としてること。


私を愛してくれてること。





イライラの吐き出す場所が、私なんだってこと。




わかってる。


空がつらいってこと。






「ママきらい、あっちいけ」





でもね、でもね。





私もつらいの。

もういや。

逃げたいの。





でも逃げる場所なんてないの。



私が空のママだから。




この子を守るのが私の役目だから。





逃げるなんて許されないの。




でも……





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