白いジャージリターンズ~先生と私と空~
「今日は、チーズフォンデュ用意してくれたんでしょ~ありがとう!」
先生と一緒にキッチンに並んで野菜やパンを切るのもなんだか久しぶりな感じだった。
子供ができるってことはこういうこと。
ふたりの時間は本当になくなる。
でも、家族3人の時間がたまらなく幸せ。
時々、空の昼寝の時間に先生がいたりしたら、ふたりきりの懐かしさを感じたりする。
だけど、前みたいにふたりになったからってイチャイチャするって気分にもなれない。
いつ起きるかわからない空のことが常に頭にあって、母親の脳になってるんだなって感じる。
それは先生も感じていることだと思う。
先生が大好きなのは、変わりないんだけど、私は空の母親になり、空が一番になった。
自分がこんな風に変わるとは思わなかった。
母親になるって、本当に不思議。
私が守らなきゃって思う。
今まで、先生に守られていた私は、自分の変化に驚いてしまう。
「な~お!どしたの?」
見とれちゃうくらい綺麗なモスグリーンのフォンデュ用の鍋の中のチーズを混ぜていた私の背中をゆかりがポンと触れた。
「懐かしいなって思って」
「そうだね」
溶けていくチーズを混ぜながら、いろんなことを考えていた。
こうした時間も子育てをしているとあまりない。