白いジャージリターンズ~先生と私と空~
「今、一番の俺の敵はサッカーのコーチなのは確かだなぁ。でも、敵であり、一番の味方でもある。だから、俺の気持ちの保ち方が難しいよ。はぁ」
先生がおみやげに買ってきてくれたフィナンシェを食べながら、先生の顔を見つめる。
憧れの新垣先生にこんなことを言ってもらえるなんてね。
こんな未来、想像してなかったな。
「大丈夫だよ。本当に真面目で熱心なコーチで、空のことよくわかってくれてる」
「だな。それはわかる。あと、イケメンってこともわかってる」
私と先生は顔を見合わせて笑った。
隣の部屋で、ボールを抱きながら眠ってしまった空に視線をうつす。
「俺達、幸せだよな。うん。みんな幸せじゃないんだよ。だから、幸せな直がうらやましい。だから、あんまり深く考えるな」
「ありがとう。先生に話して良かった」
「当たり前だろぉ?俺はいつになってもお前の担任だからな」
その夜、とても久しぶりにキスをした。
ベランダで、外を見ながらキスをした。
ママから、女性に変わる一瞬。
大好きだよ、先生。
ずっとずっと、変わらないよ。