白いジャージリターンズ~先生と私と空~
「連絡とか、しない方がいいですか?奥さんに見られちゃったりします?」
コソコソっと話す感じに、違和感を覚えた。
「見たりはしないけど。俺、スマホ放置してるんであんまり役に立てないかもしれない」
「どうしても辛い時、困った時、メール送ってもいいですか」
ダメだとは言えなかった。
俺は小さく頷いた。
たった一度お茶をしただけで、こんなにも変わるのかと驚いた。
そんなことを言うタイプの先生には見えなかった。
でも、それは俺に対して何か特別な感情があるとかではなく。
それだけ、追い詰められているんだと思う。
「ご主人と話す時間作った方がいいですよ。お子さんがいない時間帯とか寝ている時に、ちゃんと向き合って話さないと……ストレスで倒れちゃいますよ」
教師は、ストレスをためやすい職業なのに、忙しくてそれを吐き出す時間もない。
俺は、直がいるから大丈夫だけど、体調を崩して離職した先生を何人も見ている。
長谷川先生にはそうはなって欲しくなかった。
定年まで教師をしていたいという夢を聞いていたし、どうにかご主人とうまくやって欲しい。