白いジャージリターンズ~先生と私と空~
「向き合うとケンカになるし、もう期待するのも疲れちゃったんです」
遠い目をした長谷川先生をチラっと見て、俺はまた弁当に視線をうつした。
こういう時、性別って厄介だと思う。
男女を超えた同僚として接していたとしても周りはそうは見ないだろうし……
相手だって……
「新垣先生みたいに、人の気持ちがわかる旦那さんがうらやましいな」
俺は反応をせずに、弁当を食べ続け、長谷川先生は部屋を出て行った。
サラリーマンをしているご主人は、協力的ではなく、思いやりもない。
家事の分担もせずに、会社の若い女の子と飲みに行っていることが判明してっていう流れなんだけど、
それ以前からきっといろんな不満を抱えていたんだろうな、と思う。
でも、一方からだけの話は信じてはいけないと俺は、教師をしていていつも感じている。
実際、いじめなどの問題では双方の言うことは真逆だったりする。
みんな自分を正当化するような言い方をする。
それは人として、当たり前なんだろうとは思う。
【弁当うまかった】
と直に送ると、すぐにスタンプが送られてきた。
直に話すべきか、まだ答えが出ないままだけど……
別に何もないんだし、言うこともないか。
悩ませたくない、ほんと、それが一番。