白いジャージリターンズ~先生と私と空~
3
懐かしい生徒【先生目線】
~先生目線~
昼休みにコーヒーを飲んでいる時だった。
「あの……離婚届を取りに行ったんです」
体育教官室には他に誰もいないので、誰の声かはすぐにわかる。
長谷川先生だ。
「話し合いはまだですか?」
「はい。離婚届を持っているだけで強くなれる気がして」
顔を上げると、寝不足なのか疲れた表情をしていた。
「離婚を前提に話をするんですか」
「わかりません。でも……私が本気だってことをわかってほしい」
「もし、旦那さんが反省して、浮気ももうしないって言ったら許します?」
長谷川先生は、俺にこんなことを言ってほしいわけじゃないのかもしれない。
きっと、優しくしてほしいんだろう。
でも、俺は何もできない。
「許せない、かな。でも、このままじゃもうダメなんです」
教師をしていて、家庭もゴタゴタしていて、きっとどちらもが中途半端になっているんだと思う。
最近、会議でも発言しないし、限界なんだろうな。
「夏休みにでも家族で旅行とかどうです?今年は、部活も減らしていく方向みたいですし、休みも取れると思いますよ」
俺が前向きな発言をしても、もう長谷川先生の心には届いていないようだった。
「ですよね……」
「俺、家ではスマホほったらかしにしてるんで……返事はできないんですよ。すいません。夜につらくなる気持ちはすごくわかるんで、誰か他に聞いてくれる友達とか……」
「ごめんなさい。夜にいろいろ考えてしまって……怖くなって」
昨夜も、来た。
【今話せないですか】
俺が既婚者だってわかってんのに。
俺が慌てて、スマホをポケットに入れたこと、きっと直は気付いている。
なのに、俺はどうしていいのかまだわからずにいる。
昼休みにコーヒーを飲んでいる時だった。
「あの……離婚届を取りに行ったんです」
体育教官室には他に誰もいないので、誰の声かはすぐにわかる。
長谷川先生だ。
「話し合いはまだですか?」
「はい。離婚届を持っているだけで強くなれる気がして」
顔を上げると、寝不足なのか疲れた表情をしていた。
「離婚を前提に話をするんですか」
「わかりません。でも……私が本気だってことをわかってほしい」
「もし、旦那さんが反省して、浮気ももうしないって言ったら許します?」
長谷川先生は、俺にこんなことを言ってほしいわけじゃないのかもしれない。
きっと、優しくしてほしいんだろう。
でも、俺は何もできない。
「許せない、かな。でも、このままじゃもうダメなんです」
教師をしていて、家庭もゴタゴタしていて、きっとどちらもが中途半端になっているんだと思う。
最近、会議でも発言しないし、限界なんだろうな。
「夏休みにでも家族で旅行とかどうです?今年は、部活も減らしていく方向みたいですし、休みも取れると思いますよ」
俺が前向きな発言をしても、もう長谷川先生の心には届いていないようだった。
「ですよね……」
「俺、家ではスマホほったらかしにしてるんで……返事はできないんですよ。すいません。夜につらくなる気持ちはすごくわかるんで、誰か他に聞いてくれる友達とか……」
「ごめんなさい。夜にいろいろ考えてしまって……怖くなって」
昨夜も、来た。
【今話せないですか】
俺が既婚者だってわかってんのに。
俺が慌てて、スマホをポケットに入れたこと、きっと直は気付いている。
なのに、俺はどうしていいのかまだわからずにいる。