白いジャージリターンズ~先生と私と空~
「ただいま」
「おかえり~」
いつも通りの直だった。
空はサッカーを頑張って、もうソファで眠っていた。
「今日、びっくりする卒業生が来たんだよ」
「誰?誰~!?」
俺の腕を掴んで、キラキラした目で見つめる直。
「荒木!」
「ええええ~!荒木さん?」
直は、高校時代の誰かの話をする時、とても嬉しそうな顔をする。
その理由を聞いてみたことがあったけど、気持ちが高校生の頃に戻るからって言ってた。
今、直は高校生の直になってる。
「荒木さん、元気だった?」
「ああ、結婚するんだって。その報告」
もう、直。
うるうるしてる。
そういう所がたまらなく好きだよ。
「直に伝えてくれって。ちゃんと幸せになったから、気にしないでいいよって」
「荒木さん……良かった」
それから、荒木から聞いた当時の直のことなどを話しながら夕食を食べた。
直は言った。
「荒木さんと私は正反対なんだけど、どこか似てるんだよね」
荒木も同じようなことを言っていたな。
「空が寝てるうちに話したいことがあってさ」
食後のコーヒーを運ぶ直に切り出した。
ビクっとした直の顔。
やっぱり、何か気付いてる。
俺って、バカだな。
わかってるつもりなのに、わかってない。
荒木の言う通り、バカだ。