白いジャージリターンズ~先生と私と空~
「え、何……かな」
俺は、緊張する直を抱きしめた。
「直、何びびってんだよ。安心して。俺は、何も変わってない。直を好きになったあの頃と同じ気持ちだから」
「……先生?」
「最近、スマホにメッセージが届いてること、気付いてる?」
俺の胸の中にいる直が、震えるように小さく頷いた。
「気付いてるなら、問い詰めてくれていいんだよ。って……できるわけないか」
「長谷川先生……?」
「そこまで知ってて、ひとりで悩んでたのか?」
直は、泣きだした。
泣かせないと決めたのに、泣かせてしまった。
俺達ふたりには何も関係ないことで、直を苦しめていた。
「ごめん、直。直に正直に話すべきだった。長谷川先生から相談のメールが来るようになって、そのことを直に言うと、直を心配させちゃうかなって思った」
「……私が嫉妬しちゃうから、言えなかったんだよね」
「違う、そうじゃないよ。直は今、空のことで一生懸命頑張ってくれてて……すぐに解決するつもりだったから、余計な心配をかけたくなかった」
直の涙を、俺のジャージの袖で拭った。
直の涙を見るのはいつぶりだろう。
悲しい涙……