白いジャージリターンズ~先生と私と空~
空は、誰にでも優しい。
乱暴な男の子とも遊ぶけど、その子も空には叩いたりしない。
人が集まってくるんだよね。
空は、人の気持ちがわかる子で。
こんなに小さいのにもう立派な男で、私を守ろうとしてくれる。
私が風邪を引くと、大丈夫?って心配してくれて頭にタオルをのせてくれる。
まだまだわがままな男の子なんだけど、同年代の男の子のママのような悩みはない。
育てやすい子だと思う。
それなのに……
私は二人目なんて考えられないくらいに、空の子育てに必死。
神様からもらった宝物を育てているような、そんな感覚。
大事に、この子の才能を無駄にしないように、私がしっかり育てなきゃって。
先生の前では疲れていないフリをしても、すぐにバレちゃうよね。
ママとの付き合い、習い事のモヤモヤもあって、頭の中がぐちゃぐちゃになってる。
そんな私に、言えないよ。
先生。
混乱するようなこと、言えないよね。
ごめんね、先生。
先生のこと、大好きで、愛してるのに……
ちゃんと先生のこと見えてなかったのかもしれない。
空君のママ、としての時間が長すぎて、新垣直に戻れていなかった。
先生にも寂しい思いさせちゃっていたかもしれない。