白いジャージリターンズ~先生と私と空~


これから、少し気持ちを楽に子育てしてみようかな……


なんて、思っていたその日だった。




「えっ、空が?」


幼稚園からの電話で、空が遊具から落ちたと……

頭の中が真っ白になった。

春から行きだしたプレ幼稚園。

空は嫌がることなくいつも楽しく通っていた。


まさか、そんな……


「今すぐ行きます」


頭は打っていない、意識もある。
元気にしてはいる、と。

ただ、足が痛いと言っているので、今から病院に行きたいとのことだった。


足……


サッカー大好きな空にとって、大事な足。


どうか、大きなケガではありませんように、と祈りながら幼稚園へ向かった。





空は、先生たちに囲まれて笑っていた。

その笑顔を見ていると、涙が溢れた。
私に似て、無理して笑っちゃう子なんだよ、空は。


「ママ、泣いてるの?」

「空、痛くない?」

「ママは痛いの?」


空を心配してたくさんの友達が周りに来てくれた。

空は、行ってきますと元気に手を振り、病院へ送ってくれる車に乗った。

車に乗った空は、私の手をぎゅっと握り、涙をポロポロ流して泣いた。



まだまだ小さい赤ちゃんのような空。

頑張ったね。
みんなに心配かけないように元気に笑ってたんだね。


空、大丈夫だよ。

もうママがいるから泣いていいよ。




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