白いジャージリターンズ~先生と私と空~


『空と話せますか』


高田コーチは空に話をしてくれた。
笑っている空を見て、安心した。


『お母さん、大丈夫ですか?こういう時、お母さんが一番つらいですから』

「ありがとうございます。私より、空が……」

『それは違いますよ。子供ってね、骨折とか多いんですけど、みんな松葉づえにもすぐ慣れて、案外楽しんでしまうんです。不便ですけど、得るものも多い』


そんなこと考えてもいなかった。

得るものがあるなんて。

空はまだ小さいから松葉づえは危ないということだったけど、病院で他の人を見て、使いたい使いたいと言っていた。


『来たいと言うなら練習に来てくれて構いません。1週間もすれば、片足で走り回ってますよ、きっと』


「ありがとうございます。なんか、すごい気持ちが楽になりました」


『声聞いてて、落ち込んでるなって思ったんで。またいつでも、相談乗りますし、俺にできることがあれば言ってください』



高田コーチにドキドキしちゃう理由は、やっぱり先生に似ているところだね。
先生がサッカーのコーチだったら同じことを言うだろうなって思った。


だから、長谷川先生も頼っちゃうんだろうし、突き離せないところも、先生の魅力。




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