残念御曹司の恋
「そんなこと言って、お前、男いるじゃん。」
「特定の相手は居ないもん。誰かさんが全く相手してくれないから、腐らない程度にメンテナンスは必要でしょ。」
木下のどこまで本気か全く分からない告白を適当に聞き流す。
こいつが俺のことを好きだと言い始めてから数年、もうずっとこんな感じだ。
「お前の冗談につき合ってる暇無いんだよ。」
「だから、冗談じゃないってば。」
「とか言って、俺が本気で乗ったら、笑い飛ばすパターンだろ?」
「あ、バレた?」
またクスクス笑いながらグラスを傾けた。
木下玲奈は、美人と呼ばれる顔と、華奢な身体でセンスのいい服を着こなして、見た目は完璧な女だ。
生意気な性格も俺以外の男にはウケるのか、いつも男に困っている素振りはない。
だから、俺への告白も一層冗談めいて聞こえるのだ。
「谷口くんは、この先どんな女と付き合ってもうまくいかないわよ。」
「何かの、呪いかよ。」
「違うわよ。客観的に見た私の予想。相手に格好いいところしか見せられないってことは、本気じゃないのよ。」
「どういう意味だよ。」
「そのままの意味よ。女に弱音の一つも吐けないようじゃ、長く続かないって言ってるの。」
俺の性格を的確に言い当てた女は、ついにグラスの中の薄黄色の液体を飲み干しておかわりを要求した。
「そんなことねーよ。」
苦し紛れに否定の言葉を口にしたが、それ以上は言い返せない。
「特定の相手は居ないもん。誰かさんが全く相手してくれないから、腐らない程度にメンテナンスは必要でしょ。」
木下のどこまで本気か全く分からない告白を適当に聞き流す。
こいつが俺のことを好きだと言い始めてから数年、もうずっとこんな感じだ。
「お前の冗談につき合ってる暇無いんだよ。」
「だから、冗談じゃないってば。」
「とか言って、俺が本気で乗ったら、笑い飛ばすパターンだろ?」
「あ、バレた?」
またクスクス笑いながらグラスを傾けた。
木下玲奈は、美人と呼ばれる顔と、華奢な身体でセンスのいい服を着こなして、見た目は完璧な女だ。
生意気な性格も俺以外の男にはウケるのか、いつも男に困っている素振りはない。
だから、俺への告白も一層冗談めいて聞こえるのだ。
「谷口くんは、この先どんな女と付き合ってもうまくいかないわよ。」
「何かの、呪いかよ。」
「違うわよ。客観的に見た私の予想。相手に格好いいところしか見せられないってことは、本気じゃないのよ。」
「どういう意味だよ。」
「そのままの意味よ。女に弱音の一つも吐けないようじゃ、長く続かないって言ってるの。」
俺の性格を的確に言い当てた女は、ついにグラスの中の薄黄色の液体を飲み干しておかわりを要求した。
「そんなことねーよ。」
苦し紛れに否定の言葉を口にしたが、それ以上は言い返せない。