残念御曹司の恋
二週間後、竣から久々に誘いを受けた。

ついに、きた。
覚悟して待ち合わせ場所へ向かった。

これが、もう最後になるだろう。
不思議とそんな確信があった。

大丈夫。
ちゃんと私はけじめを付けられる。
竣には見えないところで、手のひらをぎゅっと握った。


「それがさ、会ってみたらかなりの美人で。しかも、俺を目の前にしても、がっかりした表情一つ見せなかったんだ。」

案の定、竣は上機嫌でお見合い相手のことを話しだした。

別れの言葉は、落ち着いて私から切り出す。

「じゃあ、もう、今日が最後ね。」

峻は少し驚いた表情をしたが、私の意図を理解したようだ。

「ちょうどよかった。春からアメリカに行くの。ボストンの支店に異動で。」

峻は静かに「おめでとう」と言った。

「最後だと思うと名残惜しいな。」

そう言って、私を抱き寄せる。

「最後だから、何でもリクエスト聞くわよ。」

よかった。私はちゃんと笑えている。

「じゃあ、銀行の制服でも着てもらおうかな?」

「そんな趣味あったの?」

私たちはくすくす笑いながらベッドに入った。

そして、いつものように抱き合った。
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