残念御曹司の恋
「司紗、気持ちいい?」
「うん…」
今では、すっかり何もかもお互いに知り尽くしている関係だ。
彼に身を委ねながら、私は必死に彼に口づけて舌を絡ませる。
「キスはまずいって。」
「ふふ、竣はこれ弱いね。」
私が10年もこの関係を続けてきたのは。
ただ単に体の相性がいいからでも、情が湧いたからでもなく。
まして、彼の地位や財力に魅力を感じているからでもない。
「竣…しゅ、ん…」
「司紗、もっとキスして…」
彼の真面目で明るい性格も。
時々私だけに見せる弱さや甘えも。
周りに残念だと言われる容姿さえも。
「…うん、いいよ。」
全て愛しているからに他ならない。