残念御曹司の恋
「お姉ちゃん、喜んでくれるかな?」

今日はおそらく姉の一番幸せな笑顔が見られる日だ。
自分の手の中にあるものが水を差してしまわないか、今更ながらに不安になる。

「大丈夫だよ。お姉さんも紫里に負けずシスコンだから。」

笑いながら彼の大きな手が私の手の上に置かれた。
もう一度、手元に視線を落とす。

表紙のヒロインは輝くような笑顔だ。
その笑顔の上に書かれたタイトルを見つめる。




『残念御曹司の恋』


それは、滑稽なほど見事にすれ違って、苦しくなるほど相手を思いやって、ようやく恋を叶えた二人の物語だ。


【完】



※このあと、番外編を3編ほど予定しています。よろしければ、引き続きお付き合い下さい。
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