彼があたしを抱くとき

子供を産む費用ではない。

それははっきりわかった。

あたしは、何かを考えることができなかった。

綿がつまった頭を身体にのせて、岸谷のあとを一、二歩さがって歩いた。

彼は駅へ行かず、海岸への坂道を降りていく。


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