彼があたしを抱くとき
風の音が帰ってきた。
力がまったく無くなってしまって
ぐったりと、身体をよこたえている。
岸谷が隣にいてほしかった。
目覚めの時、自分の隣に岸谷の姿を見つけたい。
こんな感覚を共有してみたい。
かげろうのように、ゆらめいては消えていく想いが、
つぎつぎとあたしをとらえ、今までより半歩、いや一歩、岸谷の気持ちに近づけた気がする。
あたしはいつの間にか寝いってしまったらしい。
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