彼があたしを抱くとき

story8.


story8.



先ほどから、男の子が水筒をさげたまま、走り回ったり、
吊革にぶらさがったりしている。

若い母親も父親も何も言わない。

父親の方は、半分居眠りをしている。

疲れているのかもしれない。

それにしてもよく晴れた、連休にふさわしい日だ。

あいにく、五月三日は雨にたたられたが、
それも、その日の夕暮れにはあがり、
今日は少し蒸し暑いくらいだ。


< 186 / 363 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop