彼があたしを抱くとき

あたしは岸谷のメールを、母からつきつけられては何も否定できない。

また机の引き出しを、親が不信を持って調べるのは、いい事とは言えないが、
文句も言えない。

結局、謝るしかないのだと、思っていた。

なぜ、身体を岸谷に許したことを親に謝らなければならないのかと理屈をこねるより先に、
直感的に、母がおこることを予想し、それは世間一般の親として当たり前のことであり、
それに対して当たり前に謝るつもりだった。


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