彼があたしを抱くとき
疲労の中で、目を覚ますと午前十時を回っている。
家の中はふすまが蹴りやぶられ、
茶わんがわれ、
新聞紙がちりばり、
本がかもいの上にのっている。
母も起き出してきた。
そして、頭痛と胃痛、それに目の痛みをうったえながら、昨日と同じぐちと怒りと憎しみとうらみの膿を家中に分泌し、あたしの神経がその膿にくわれ、腐っていくようだ。
はれぼったい目と、重い身体が、ぐったりと横になっているといった母とあたしだった。