彼があたしを抱くとき

夏は苦しく暑い。

時間は遅くゆっくりと流れ、あたしと岸谷の間でよどんでいる。

だれが、あたしのことを「わかって」くれるのだろう。

だれかが「わかって」くれなければ、あたしは淫らな女として、深い沼地へもぐりこんでいってしまう。

あたしは純粋だった。


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