彼があたしを抱くとき
あたしは、女たちが眉根をしかめ別の種の女を罵倒する時、
口もとから、ねちねちと発せられる生臭い粘液が、
別の女をからめとり、
窒息させ、腐敗させていくのに身ぶるいした。
母の中に、そんな女たちの顔をみた。
長年耐え忍んできた不満は、
他者をおとしめることでしか、
自分たちの名誉を強調することでしか、
満たされないのかもしれない。
母は自分は崇高であり、
それだけの意識以外には、
自己を確立できない女たちの一人なのだ。