彼があたしを抱くとき
あたしと母はおぼれているのだ。
海上はるかに何も見えない。
母はあたしに、あたしは母にすがりつくしかない。
母はこんな事になったのはあたしのためだと思っている。
あたしはあたしで、母がもう少し人間臭い愛情を持っていてくれたらと考えている。
それでも母とあたしはたより合うしかない。
母は自分の娘がかわいいと同時に
いやしむべき女であると感じ、
その両方の感情を整理しきれないでいる。
あたしは母の内にあるあたしをおとしめる女と、歯をむきだしに子を守る母を見ている。