彼があたしを抱くとき

last story.


last story.



ポップコーンの白さがはじけて、お腹の空いているのに気づく。

「秀太、ポップコーン、食べない?」

「おいしそう」

ポップコーンは二百円だった。

黒く日焼けしたおばさんが、ビーチパラソルの下で、フライドポテトだのジュースだのをならべて売っている。

秀太は、芸大の学生がキャンバスやイーゼルを抱いて通りすぎていくたびに、
ちっと、舌打ちをしている。


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