彼があたしを抱くとき

木のゆれる影が、顔の上をゆきつもどりつし、
澄んだ窓ガラスのむこうで、
黄色に染まったイチョウが、もう六割がた葉を落としていた。

あたしは、秋がすぎていくのにも気づかずにいた。

梢の近くで葉がまとまって散る。

光に舞う。

それを半ば放心したように、
驚きながら見つめた。

空は折り紙をはったよりも平らにピッとはりつめてあった。


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