It was broken
頭皮が丸出しで、夏場はキラキラと輝くあの男を愛したことはない。
これからもそれは、あり得ない。
しかし、妻になった以上夜の営みは断ることができない訳で。
「 ......わかりました 」
ボルトフ様の正妻の冷たい視線に耐えながら過ごした夕食。
ついにきたのだ、この時が。
「 セス 」
バルコニーで紅茶を飲んでいたわたしの体を、そっと包み込んだ男。
生まれてからずっと一緒に生きてきた、最愛の男。
「 アラキナと、呼んで 」
それに応えるように、耳元で彼は囁く。
アラキナ、と。
彼の冷たい肌が、頰や耳に掠れた。