階段1つ、上ろうか。
「先輩、ご卒業、おめ…とうござ…ますっ…!」
乾いたと思ってたのに、なんで涙が出ちゃうかな。
バカ。私のバカ。
余計困らせちゃうじゃん。
「ありがと、イリエ。
…あのさ、また、メールはしてもいい?」
「なんで今言うんですか…バカなんで…か…っ」
「そー、バカなの。期待させちゃうかもしれないって思いつつも、言っちゃってんの。」
「自覚あるんですかっ…そんなだから先輩は運動できないんですよ…」
「関係なくね!?」
ぐすぐすと泣く私を見て、ハハ、っと笑う先輩。
「彼女さんに怒られても知りませんからね」
泣きながら、漏らした言葉。
先輩は、優しい笑顔で私の頭を撫でた。