階段1つ、上ろうか。
代表挨拶
『ーーーーー、卒業生代表、宮代 蛍』
「はい」
…おっといけない、校長たちの長い話を聞いて、昔のことを思い出してたら寝そうになっていた。
壇上に立つ先輩はやっぱり先輩で。
ただ、少し髪が伸びたかな…と思った。
「厳しい寒さが残る中で、桜の蕾が膨らみ始めーーー………」
淡々と挨拶を読む先輩に少し寂しさを覚えて、ボーッとしてしまう。
なんで卒業生代表の挨拶って、校長に向かって言うんだろう。
後ろ姿よりも、正面の姿を見たい。
色素が薄い髪が、照明によってさらに薄くなり、金髪に近く見える。
…そんな姿も素敵で、泣きそうになる。
先輩は泣くかな。
泣かないだろうな。