初恋の味。

十人十色、十カップル十色。



「結歌ー!?朝よー!あんた遅刻しても
知らないからねー!!!」


下からお母さんの声が聞こえた


「はーいー……」


力なく返事をすると階段から足音が聞こえた


がちゃっ…


あたしの部屋の扉が開かれる


「ゆーいーかー?朝だよー!遥斗くんが今日
迎えに行くらしいって渓斗(けいと)から
連絡来たよ?」


あたしの部屋に入ってきたのは4つ歳上の姉。
夕希(ゆうき)だった


「は……え!?遥斗!?」


「うん、今日の朝ね、渓斗から連絡来てさー
遥斗が結歌ちゃん迎えに行くらしいよって
だから早く準備した方がいいんじゃなぁーい?」


ニヤニヤしながらあたしに言う
たぶん、あたしと遥斗の関係を分かって言ってる

夕姉はこーゆーとこ、意地悪


渓斗くんってゆうのは、遥斗のお兄さん
夕姉と同い年で同じ高校
未だに高校の頃の子達で遊ぶほど仲良いらしい

付き合ってないよ?友達友達~!って夕姉は
言ってたけどどうなんだろ?


「結歌ー?聞いてる?遥斗くん来るってば!!」


「あ!うんっ!急ぐ!!!」


制服に着替えてドタバタと階段を駆け下りる


「おはよう!ママ!!いただきます!」


机の上にあった朝食に食らいつく


「もう…朝っぱらから……結歌あんた女の子なんだから
もっと女の子らしく食べなさいよ」


ママからのお説教を無視してあっという間に
食べ終わる


「ごちそうさまでした!!!」


そのまま走って洗面所に向かい
髪を整えて、歯磨きをして、コンタクトを入れる


「ん、よし!完璧っ!!!」


ピーンポーンっ


玄関のチャイムが鳴る


「あら、こんな朝に誰かしら?」


ママが玄関に向かおうとすると


「あ、ママあたしが行くよー?洗い物の途中でしょ」


そう告げて、夕姉が玄関のドアを開ける


「あ、おはよ~!ちょっと待ってねー?」


玄関に向かうと遥斗が立ってた


「おはよ、結歌」


「お……はよ…」


「はーい、お二人さんいってらっしゃーいっ!」


夕姉はそれだけ告げるとあたしを押し出して
玄関のドアを閉めた


学校までの道のりを歩きながら遥斗に問いかけられる


「ごめん、急に迎えに来て、大丈夫だった?」


「ん?うん、びっくりしたけど大丈夫だよ?」


昨日からカップルになったあたし達。
でも何をどうしたらいいのかわからなくて
いつもみたいに他愛のない話をしながら歩いてた

すると、少し前にカップルが歩いてた
恋人つなぎをして片耳ずつイヤホンをしながら
にこにこ話してる
「the カップル」って感じ

あんな風にイチャイチャするのがカップルなのかな
なんて思いながら前のカップルを見つめてたら


「結歌…?聞いてる?」


遥斗に声をかけられてハッとする


「え!?あ、ごめんっ!」






そうこうしてたら学校についた
靴を履き替えて、階段を登る


「じゃあねー?」


あたしと遥斗はクラスが違うから手を振って
自分の教室に行こうとしたら手を掴まれた


「わ!?ちょっ……!?」


そのまま手を引かれてさらに階段を登っていく
屋上の入り口に来て遥斗は止まる


「どうかしたの?」


「………。」


ぽかんとしてたら遥斗が振り返った


「結歌……」


涙目で見つめてくる


「は…え!?ちょっとどうしたの!?」


涙目の遥斗に我慢できなくて抱きしめた


「どうしたの?あたしここにいるよ?なんも
悲しいこと起こってないよ?」


そう言いながら抱きしめると遥斗も
抱きしめ返してきた


「………ごめんね…」


それだけ告げる
たぶん、なにか考えてて悩んでるんだと思う


「んー?謝るようなことあたしされてないよ?」


抱きしめたまま、遥斗が話し始める


「今日の朝……カップルが前にいたでしょ?
イチャイチャしてて、うらやましいなぁって
思ったんだ………それで、横見たら結歌が隣を
歩いてて…顔見…たら……大好きって気持ちが
いっぱい出てきて……」


「うん……」


優しく背中を摩りながら話の続きを待つ
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