泣いて、笑って強くなれ
「優愛ちゃんの話じゃあ、陽向くんはバカみたいに笑ってるっていったけど。
それは間違いだったかな?」
「……」
「まぁいいや。こんな長話は嫌いみたいだし、単刀直入にいこうか。
……君は優愛ちゃんのことが好きなんだよね?」
そういって、男は顔を俺につきだして俺をじろじろと見た。
なんだよ、部外者が。
一体、優愛のなんだっていうんだよ。
俺が知らない優愛のことをコイツらはきっとたくさん知っている。
しょうがないって割りきってたけど、ムカつくもんはやっぱりムカつく。
それでもなお、俺の気持ちまで確めるとか、お前は一体っ……。
_____…♪~♪~……
男のポケットから何やら音楽が流れ出した。
男は少し眉間にシワを寄せてからその音源をポケットからとりだし、耳に当てた。
「……渚。お前、もうちょっといいタイミングでかけろよ。
俺いまめっちゃいいとこだったのに」
渚……。
優愛の友達の。
何?
ここで繋がってんの?
『はぁ?そんなの知らないしっ!ってか船降りたら直ぐにこっちにくる手はずだったでしょ?どこで、寄り道してるの、カズくんっ!!』
会話の主はひどく起こっているようで、ここまで声が駄々漏れだった。
へー。
こいつ、カズくんっての。
なら、カズヒコとかカズアキとか、そこら辺なんだろうな。
「あー、わりわり。道に迷って知ってるやついたからついっちまったんだよ。
今陽向くんと一緒だから、案内してもらうわ」
『……はぃ!?ちょ、カズくんっ!いま誰と一緒…「ん?あれ~?おかしいな……。もしもーし。電波悪いんだな、きっと。んじゃ、切るぞ~」
そういって、男は無理矢理電話をきって、一呼吸おいた。
「……いいのか?彼女だろ?」
「へぇー。わかるんだ。そんなことも」
「……何となくは、な」
「いいのいいの。あとで謝っとくし。まぁ、あとでこっぴどく叱られるのが目に見えるけどね~」
「……いいな」
「え?」