泣いて、笑って強くなれ
ったく。
少しかっこよくなったじゃん。なんて言おうとしたけどやめたやめた。
全然かっこよくなんかない。
「あんただって、ガキのまんまじゃんっ!」
「ガキ??
……んなわけねぇだろ?身長もお前よりでかくなったし」
そういって、どや顔をかましてくる。
あーあー!
ムカつくーー!
私の可愛い陽向を返せ!
この変態!!
「あ、陽向くん薬もらってもいいかい?」
私と陽向の間でのバトルがヒートアップしそうな所でばあちゃんの弱々しい声が聞こえた。
それを聞いて、陽向はポケットからなにかを取りだした。
そして、近くにあったペットボトルに入った水をばあちゃんのもとへと持っていく。
「わりわり、ばあちゃん。ほら、飲めるか?」
「ああ、ありがとうね」
陽向は弱々しくなったばあちゃんをゆっくりと起こしてから、ばあちゃんにさっき陽向がポケットから取り出したものと、水をばあちゃんに持たせた。
きっと、陽向がポケットから取り出したものは、ばあちゃんの薬。
ん?
ちょっと待て。
なんで、陽向がばあちゃんの世話してるわけ?
「優愛。ちょっとこい」
陽向はさっきのふざけた笑顔からは一変。
真剣な顔で私を廊下に呼び出した。
「ばあちゃん。また、くるからな」
そう一言いってからゆっくりと扉を閉める。
そして、なにも言わずに陽向は歩き出した。
私もなにも聞かずに陽向についていく。